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経営者保証ガイドラインをご存知でしょうか

2019.10.01 その他

 弁護士の塩野です。
 中小企業の代表者の方は,ご自身の経営する会社が金融機関から融資を受ける際,会社の債務の連帯保証をしていることが圧倒的に多いと思います。そして,不幸にも会社が倒産する場合には,代表者が個人として会社の負債(連帯保証債務)を全額弁済することが困難なため,代表者の方も併せて破産を申し立てることが通常です。
 しかし,多くの経営者の方からお話しを伺うと,「破産した」という事実は,私たち弁護士が考えている以上に,再出発を妨害していることを改めて認識させられます。
 そこで,今日は,「経営者ガイドライン」についてご紹介させていただきます。

 「経営者保証ガイドライン」とは,一度事業に失敗しても,代表者の方が破産などの法的手続以外の方法で(≒金融機関以外の商取引先等に公に知られることなく)連帯保証債務を整理することを可能にするルールです。2015年12月に,日本商工会議所と全国銀行協会を事務局とする研究会において,民間の自主的自律的なルールとして取りまとめられました。
 このガイドラインを利用して債務を整理すれば,破産という法的手続を経ることなく,金融機関に対する連帯保証債務の免除を受けることが可能となります。
 ただし,ガイドラインの対象は,原則として,「金融機関」を債権者とする「連帯保証債務」になりますので,代表者の方が個人で借りた負債が多額に上る場合には,ガイドラインによる整理が難しいことも多く,私の知る限り,まだ千葉での定着率はそれほど高くないように感じます。
 もっとも,金融機関からはガイドラインによる整理には理解を示していただけることが多く,利用を促進すべき制度ですので,当事務所では,ガイドラインを使った整理をファーストチョイスとして経営者の方にはご説明しております。

 私が担当するかなで便りの次号では,ガイドラインについて,もう少し詳しくご紹介させていただこうと思います。