かなで便り Kanade news

弁護士費用を負担する保険が拡大しています

2021.05.31 その他

 弁護士の樋口です。

 2019年4月25日の「かなで便り」に記載しましたが,自動車保険の特約の1つとして,「弁護士費用補償特約」があります。交通事故に遭われ,加害者側に対する損害賠償手続を弁護士へ依頼して行いたい場合,「弁護士費用補償特約」に加入していれば,(一定の限度額はございますが)加入している保険会社が弁護士費用を支払ってくれます。つまり,(一定の限度額の範囲内であれば)弁護士費用を負担することなく,弁護士へ依頼することができます。
 自動車保険の特約の1つである「弁護士費用補償特約」の範囲ですが,「自動車・日常生活事故」まで拡大すれば,「日常生活事故」に遭った場合の弁護士費用も,加入している保険会社が(一定の限度額の下)負担してくれます。「日常生活事故」とは,例えば,自転車に追突されて怪我をしてしまった場合や,ご近所のトラブルで暴行を受けてしまった場合等,様々なケースが想定されます。詳細に関しては,加入している保険会社へお尋ねください。

 交通事故に遭ったのではなく,交通事故を起こしてしまった,つまり,交通事故の加害者となる場面もあります。交通事故の加害者の立場になった場合,お怪我を負った被害者に対するお怪我の賠償(民事事件)の他にも,警察や検察官への対応(刑事事件)も必要となります。刑事事件の対応を弁護士へ依頼した場合,「弁護士費用補償特約」の範囲に刑事弁護士費用も含まれていれば,(一定の限度額の範囲の下)弁護士費用を負担しなくて済みます。私が知りうる限り,損害保険ジャパン株式会社が,2019年1月より,刑事弁護士費用も自動車保険の「弁護士費用補償特約」の範囲に含めることができるようにしたようです。

 上記自動車保険の他にも,以下のとおり,弁護士費用を負担する保険もございます。
・中小企業向け弁護士費用保険(「事業者のミカタ」プリベント少額短期保険株式会社)
・インターネットトラブル費用保険(「ネットあんしん保険)ジェイコム少額短期保険株式会社)

 このように,弁護士費用保険の対象は,拡大しつつあります。
 弁護士費用を負担してくれる保険に加入していることが確認できましたら,どの弁護士を利用するかはさておき,当該保険を利用して弁護士へ依頼すべきです。