かなで便り Kanade news

最近の千葉の民事事件における和解手続について

2022.11.29 その他

 弁護士の樋口です。

 かなで便り5月号において,提訴から判決までの手続の全面的なオンライン化を主たる目的とした「民事訴訟法との一部を改正する法律」(本年5月18日成立,2025年度までに完全実施予定)のお話をしました。
 もっとも,上記法改正成立前より,以下の①と②を満たしていれば,千葉県内の裁判所の場合(※千葉以外の裁判所の運用は,把握しておりませんので,触れません。),ウェブ会議が利用されているように見受けられます。
  ① 千葉地方裁判所の民事事件
  ② 当事者いずれも代理人弁護士が選任されている
 つまり,千葉「簡易」裁判所の民事事件や,当事者の一方が代理人弁護士を選任していない場合ですと,私の経験上,ウェブ会議が実施されず,裁判所へ赴いています。

 上記①と②を満たしていると,「書面による準備手続」という期日によるウェブ会議を重ね,当事者双方の主張や立証が尽くされます。
 その結果,当事者から法廷でお話を伺う(=尋問手続といいます)ことなく,当事者間で和解が成立して解決することがあります。
 このような場合,最近は,民事訴訟法265条の「裁定和解」を利用して,1度も当事者双方の代理人弁護士を裁判所へ出頭させることなく,和解成立させることが多くなりました。実際,私は,1ヶ月ほど前,佐倉支部に係属した事件において,裁定和解により解決し,1度も裁判所へ赴きませんでした。
 ウェブ会議が始まる前であれば,和解を成立させる場合,通常,少なくとも当事者の一方の代理人弁護士は,裁判所へ出頭することが多いように思われました。

 担当裁判官によっては裁判所への出頭を促されることもあるかもしれませんが(※実際,私は,1年ほど前,ウェブ会議を重ねたものの,和解成立日に裁判所へ出頭しました。),どうしてもその日に和解成立させるような事情がない限り(※裁定和解ですと,少し遅れて和解が成立します),裁定和解による解決を図った方が良いと思います。

 上記①と②を満たしてウェブ会議を重ねたものの,当事者間で和解が成立しなければ,裁判所による「判決」が言い渡されることになります。判決が言い渡されるためには,「口頭弁論」という期日を実施する必要があります。そのため,少なくとも当事者の一方の代理人弁護士は,口頭弁論期日へ出頭しなければいけないようです。実際,八日市場支部の事件において,私は,書面による準備手続期日を重ねることで裁判所へ赴かなかったものの,和解できなかったため,1度,同支部へ赴きました。ちなみに,相手方の代理人弁護士は,遠方であったこともあり,口頭弁論期日へ出頭せず,同期日直後に実施された「弁論準備手続」期日に電話で参加するだけで済み,1度も同支部へ出頭しませんでした。