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嫡出推定制度が令和6年4月1日より新しくなりました。

2024.05.29

弁護士の相田です。
【嫡出推定制度とは】
民法では、生まれた子の父が誰であるかを法律上早期に確定して子の利益を図るため、嫡出推定制度を設けています。
具体的には、婚姻の成立した日から200日を経過した日より後に生まれた子または離婚等により婚姻を解消した日から300日以内に生まれた子を、夫の子と推定することとしています。
しかしながら、この制度により無戸籍の子供が生じる一つの原因となっていました。すなわち、母が前夫との離婚後300日以内に子を出産した場合には、その子は法律上前夫の子と推定され、血縁上の父と前夫が異なる場合であっても原則として前夫を父とする出生届以外は受理されないため、前夫以外の男性との間の子を出産した女性が、その子が前夫の子として扱われることを避けるためにあえて出生届の提出をせず、戸籍に記載されない子が一定数存在してしまったということです。
この無戸籍者問題の解消に向けて、民法の規定を改正することになったようです。
【嫡出推定制度の見直しポイント3点】
1 婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定されることになります。
2 女性の再婚禁止期間が廃止されました。
3 これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認められました。
4 嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長されました。
 ※2について、これまで6か月、その後の改正で100日と女性のみに再婚禁止期間が定められていました(改正前733条1項)。

 その他大事な点として、嫡出推定制度に関する改正後の規定は、原則として、本法律の施行日(令和6年4月1日)以後に生まれる子に適用されますが、本法律の施行日前に生まれた方やその母も、本法律の施行の日(令和6年4月1日)から1年間に限り、嫡出否認の訴えを提起して、血縁上の父ではない者が子の父と推定されている状態を解消することが可能です。
 法務省の外部サイトも参照ください。
 法務省(民法等の一部を改正する法律について)外部サイト
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html