かなで便り Kanade news

相続人が兄弟姉妹であることを示す戸籍

2020.07.27 家族問題(相続・遺言、離婚)

  弁護士の樋口です。
 
  ご親族が亡くなったものの,そのご親族は独身で(養子も含めた)子どもがおらず,ご両親や祖父母も他界されている場合,亡くなったご親族の兄弟姉妹(又は代襲相続人)が,相続人となります(民法889条,887条)。
 
  相続人であることを示す資料は,役所から入手できる戸籍謄本(改正原戸籍・除籍も含みます)です。
 

  この点,「亡くなったご親族が,独身で(養子も含めた)子どももいなかった」ことは,通常,亡くなったご親族の出生から亡くなった時までの戸籍により,説明することができます。
 
  「ご両親や祖父母も他界されている」ことも,ご両親や祖父母が亡くなったことを,戸籍により説明することができます。
  ご注意いただきたいのは,兄弟姉妹が相続人となる場合,亡くなったご親族のご両親・祖父母・曾祖父母等直系尊属全員につき,亡くなっていることが分かる戸籍を示さなければいけないことです。この時点で,多くの戸籍を入手しなければいけないことが予想できると思われます。
 
  さらに,ご両親や祖父母が,明治・大正生まれの場合,取得する戸籍が多いものと予想されます。昔は,家督相続や分家,戸籍の改製等により,戸籍を移動することがあったためです。

  稀ではありますが,死亡診断書が提出されていなかったため,戸籍上,亡くなっていたと証明できないこともあります。実際,明治生まれのご親族が戸籍上亡くなっていないことがありました。この場合,確実とはいえませんが,事件によっては,係属している裁判所に対し,死亡したことが推定される旨の文書を提出して解決することを,検討する余地はございます。現に,相続放棄の事件において,上記文書を提出して,亡くなったご親族の明治生まれの祖母につき,裁判所に死亡を推定してもらうことができました。